自戦記第9局【掲載日、2018(平成30)年1月4日・木]

 

 

第48回龍宮城戦・第1部リーグより第1局

 

主催(会場)  宇都宮将棋センター

  

2017(平成29)年12月3日(日)

持ち時間各10分、秒読み付30秒

  

(先)三段 東畑 直希(将棋講師、大田原市)

   五段 門屋 良和

   

 

 東畑直希さんは(写真)、1993(平成5)年8月生まれ(24歳)大田原市在住。昨年10月より、将棋講師として活動を開始した。

 

 これまでの大会実績は、高校時代、高校新人戦栃木県予選準優勝(全国大会出場)や、アマ銀河戦県予選準優勝など県代表を数多く獲得し活躍中。

 

 得意戦法は中飛車。

 

 現在は将棋講師に携わり、ヤマダ電機テックランド小山店将棋教室(小山市)の講師。本年2月からはヨークカルチャー小山将棋教室(小山市)の講師も務める。

 いずれも小山市にある将棋教室での活動であるが、興味ある方は問合せを下記に掲載いたしましたのでご参照ください。

 

〇ヤマダ電機テックランド小山店

 ℡ 0285ー30ー5961

 毎週金曜日午後4時30分から7時30分

 

〇ヨークカルチャーセンター小山

 ℡ 0285-21-2811

 2月開講

 

 

 さて、本大会の龍宮城戦は5対局のリーグ戦を2回実施し、各優勝、準優勝を設けている。

 第1部リーグの初戦で東畑さんと対戦、その一局をを紹介します。

 

 

 初手からの指し手(読み方、横へ読んでいく)

▲7六歩 △8四歩 ▲5六歩 △8五歩  

▲7七角 △6二銀 ▲5八飛 △4二玉  

▲4八玉 △3二玉 ▲3八玉 △5二金右 

▲6八銀 △1四歩 ▲1六歩 △7四歩  

▲2八玉 △7三銀         (1図) 

 東畑さんの先手番となって、得意の中飛車へ。

私が△3四歩と角道を開けないのは、角交換型振り飛車を牽制したもの。

 

 △7三銀で1図となる。

 

 

1図からの指し手

 ▲6六歩 △7五歩 ▲6七銀  △7四銀  

 ▲5五歩 △7六歩 ▲同 銀  △7五歩 

 ▲6七銀 △6四歩 ▲5四歩  △同 歩  

 ▲同 飛 △6三金 ▲5九飛  △7三桂  

 ▲3八銀 △4二銀 ▲7八金  △6五歩

                  2図) 

 △7三銀(第1図)、単純ながら△6四銀から

△7五歩▲同歩△同銀の狙いである。

 

 東畑さんは▲6六歩△7五歩に▲6七銀と角頭を守った。

 なお、△7五歩に▲同歩は△6四銀▲6七銀(▲7四歩もあり)△7五銀▲7六歩△8六歩(A図)▲7五歩△8七歩成▲6八角△8八歩▲4六角

△8四飛▲9一角成△8九歩成(B図)から△7七とで、結構な勝負である。

 

 本譜、東畑さんは、▲5四歩から歩を交換して▲5九飛と好位置に引き、▲3八銀と片美濃囲いを完成して充分の体勢に組み上げた。

 

 △6五歩で2図へ。

 

 

2図からの指し手

 

▲5四歩 △5二飛 ▲6八角 △5四金 

                 (3図) 

 △6五歩(2図)を▲同歩は、いずれ△6五桂跳ねが生じるから、東畑さんは▲5四歩と打つ。強い手だ。

 

 △5二飛から△5四金(3図)と歩を払って後手良しと思ったが、次の一手でシビレた。

 

 東畑さんは狙っていた。

 

 

3図からの指し手

▲9五角 △6六歩 ▲7三角成 △6七歩成 

▲同 金 △6五銀 ▲6六歩  △5八歩  

▲同 飛 △5七歩 ▲同 飛  △5六歩  

▲同 金 △同 銀 ▲同 飛  △6七銀 

▲5七飛 △5六金 ▲5九飛   4図) 

 3図から▲9五角の桂取りが、後手の間隙を突いた好手(しゅうて)であった。

 

 守るとすれば△5三飛であるが、▲7三角成

△同飛▲5四飛(C図)の二枚替えとなって先手が良い。

 

 

 致し方なく△6六歩と歩を取って銀取りにしたが、

東畑さんは強く▲7三角成と桂を取って△6七歩成▲同金△6五銀に▲6六歩の銀取りで後手の攻めを催促。

 いわゆる受け潰しである。

 

 4図の△5九飛まで、丁寧に面倒を見る東畑さんであった。

 

 

4図からの指し手

      △3四歩 ▲7四馬  △6六角  

▲5二馬  △同 金 ▲6一飛  △5一金  

▲6六飛成 △5八歩 ▲5六竜  △同銀成  

▲5八飛  △6七角 ▲6八飛  △8九角成

                   (5図)

 4図から△3四歩と遅まきながら角道を開けた。

角を使わないことにはどうにもならない。

 

 東畑さんは▲7四馬と引いて飛車取りと、▲5六馬△同銀成▲同飛の二枚替えを狙っている。

 

 後手に受ける手段はなく、△6六角と飛び出す。

 

 東畑さんは▲5二馬と飛車を取り、△同金に

▲6一飛が厳しい一着で、次に▲4一銀の王手金取り狙い。

 

 △5一金に▲6六飛成と角を取ったのも好手。

△同金は▲5四飛と金を取れる。

 

 5図となって、東畑さんに上手い歩打ちがある。

 

 

5図からの指し手

▲5二歩 △4一金 ▲6一飛成 △9九馬  

▲7四角 △3一金 ▲5一歩成 △6四飛  

▲同 竜 △同 金 ▲5六角  △5五馬  

▲4六金 △5六馬 ▲同 金  △5一銀  

▲6一飛 △4二銀 ▲6四飛成 △4四桂  

▲4五金 △7八角 ▲6七歩  △6九飛  

▲3四金 △3三香        (6図) 

 

 5図から▲5二歩の金取りが軽手。これで先手は飛車が成れる。

 

 私は△4一金とかわしたが、まだしも△5二同金と

応じて▲6一飛成△5一歩とすべきであった。

 

 本譜、▲6一飛成△9九馬に▲7四角が急所の一手。△5五馬なら▲4一飛成△同玉▲5一歩成

(D図、両王手)△3二玉▲4一角成△3三玉

▲3六桂(E図)で寄り。(▲3六桂は相手からの△3六桂の王手も防いでいる)

 E図から△3五歩には▲2五金、また△3一香には▲4二とでよい。

 

 東畑さんは順調に寄せていく。途中、△5五馬の角取りと△3六桂(王手)の狙いに対し、▲4六金と弾いてしっかり受ける。

 

 6図となって、後手玉に詰みが生じた。

 

 

6図からの指し手

▲2三金 △同 玉 ▲4五角 △3四香  

▲3五桂           (投了図) 

 

 まで、107手で東畑三段の勝ち

 6図からは、▲2三金以下詰みとなった。

 

 投了図以下、△3二玉は▲2三銀△4一玉(△3三玉は▲3四銀成)▲6一竜△5一銀▲5二金まで。

 また、△2四玉は▲2三金△3五玉▲4六銀

△2五玉▲2六銀までの詰み。

 

 東畑さんの冴えわたる寄せであり、見事な一局であった。

 中盤での▲9五角で決まったといえる。

 

 東畑さんは第1部リーグを4勝1敗の好成績で

準優勝に輝いた。

 

 最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました。               (門屋)