自戦記(六枚落ち編)第3局目
六枚落ちは、飛・角と、桂・香各二枚落とす。
※本対局は動画(ユーチューブ)にアップした
実戦を、解説しています。
宇都宮将棋センター 将棋・1手10秒
対局日 2018年7月29日(日)
( youtube)無料配信です。
https://www.youtube.com/watch?v=4kL-yyQgH0o
(解説の掲載日、平成30年8月9日・水)
(下手)Hさん(30代男性)
(上手)五段 門屋 良和
最初の並べ方からの指し手(読み方、横へ読んでいく)
△4二玉 ▲7六歩 △7二金
▲6六角 △8二銀 ▲9六歩 △6四歩
▲5六歩 △7四歩 ▲9五歩 △8四歩
(1図)
Hさん二度目の登場。今回は1手10秒将棋で実施、対局の模様は動画にアップした。
(1図)の△8四歩は私のワナで、角道を止めた。
もし、1図から▲9四歩と攻めてきたら、
△同歩▲同香△9三歩で香が取れる。
1図からの指し手
▲8四同角 △5二金 ▲5七角 △2二銀 ▲9四歩 △同 歩 ▲同 香 △5四歩 ▲9二香成 △5五歩 (2図)
1図から▲8四同角と歩を取ってよし。これでHさんの一歩得であり、角道も通って働きが良い。
△5二金に▲5七角と引いて▲1三角成を狙うのも大切な手順。
ここで、角を引かずに▲9四歩と攻めるのは、それこそ私のワナにはまる。
以下△同歩▲同香△8三金(A図)で、角香両取りとなり、▲5七角に△9四金と香を取られてしまう。
Hさんの▲5七角は未然に、A図での両取りを防いで、次に▲9四歩からの攻めをみせたものである。
本譜、▲9二香成で端を破り、成功した。
△5五歩(2図)は、これも私からのワナである。見破れるか。
2図からの指し手
▲9八飛 △5六歩 ▲4六角 △7三銀
▲5八金右 △4四歩 ▲3六歩 △3四歩 ▲8一成香 △4五歩 ▲3七角 △3三銀 ▲9二飛成 △8二歩 (3図)
△5五歩(2図)の狙いは、単純に申せば、▲8二成香と銀を交換してから、▲5五歩と歩を取ると、△5六香(B図)の角取りが痛打となる。
この時、角は逃げられない。逃げると香で王が取られる。したがって、角を取られてしまうことになる。
△5五歩(2図)はその意味であり、成香で銀との交換をしにくくした手である。
さすがにHさんは経験豊富とあって、そんなワナには乗らなかった。
▲9八飛と転換させて、9筋から飛車成りを狙う。
△7三銀に▲5八金右も大切な一手。将来、△5七歩成の「と金」づくりを防いでいる。
すなわち、△5七歩成のとき▲同金と取れるように守ったわけだ。そうすれば、角(4六)が自由に動きやすくなる。
3図からの指し手
▲9四歩 △4三玉 ▲9三歩成 △7五歩 ▲8二と △6三金右▲8三と △7四銀 ▲8二成香△6五銀 ▲7二成香 △5三金上 ▲7三と △5四金右▲6二成香 △3五歩 ▲5五歩 △3六歩 (4図)
▲9二飛成に△8二歩と打って、3図。
3図からHさん、△9四歩と打つ。見事な
垂れ歩(たれふ)であった。
▲9三歩成で「と金」をつくり、成香と竜が連携して、ジワジワと相手陣の玉に向かって攻略へ、非常に上手い。
と金と、成香の活用は、棋譜の通り、参照にしていただいて差支えない。
△3六歩(4図)の角取りにはどうすべきか。
4図からの指し手
▲2六角 △5五金 ▲6三と △4四金 ▲5二成香△3四玉 ▲5三成香 △5七歩成
(5図)
4図は▲5五歩で金取りなっているが、私も負けずに△3六歩と角取りにして、4図となった。
Hさんは▲2六角とかわす。相手に角を渡すわけにはいかないところであろうが、他にも選択肢が2つあった。
▲2八角(C図)と引く手と、▲5四歩
(D図)と金を取る手である。
▲2八角(C図)は5五歩にヒモをつけたままにして、△4四金寄(△5五金は▲同角と金を取られる)なら△6三と(E図)で金が取れる。
もう一つ、強く▲5四歩(D図)と金を取る手もある。△3七歩成(角を取る)に、もう一枚▲5三歩成(F図)と金を取っていく手段だ。
F図の後は△同玉に▲3七桂と、と金を払い、次に▲4五桂で王手銀の両取りや、または
▲6三成香(王手)と攻める手がある。
したがって、手堅くいく場合はC図、踏み込みたい場合はD図をおすすめしたい。
本譜、△5七歩成となって、5図となる。
5図からの指し手
▲6四と △5六銀 ▲5四成香 △同金引 ▲同 と △同 金 ▲5二竜 △5八と ▲同 金 △4四金打 (6図)
△5七歩成(5図)に、Hさんは▲6四と、と引いて銀取りに攻めあった。
とはいえ、ここは▲5七同金と、と金を払うほうがよかった。△5六銀には▲5八歩
(G図)と受け、△5七銀成には▲同歩で十分である。
1手10秒以内で指さなくてはいけないから、多少はきつかったと思う。
本譜、5筋での戦いとなったが、▲5二竜まで進行して、まだHさん優勢だ。
△4四金打(6図)に、決め手がある。
持ち駒の歩を一枚打てば、終わりだ。
6図からの指し手
▲4四同角 △同 金 ▲5六竜 △5四香 ▲3六竜 △3五歩 ▲2五金 △4三玉 ▲3五金 △同 金 ▲同 竜 △5七歩
(7図)
6図で歩による決め手がある。
▲3五歩(H図)の王手があった。
△2五玉と逃げると、▲1五金で詰み。
△3五同金は▲5四竜と、金が取れる。
本譜、6図から▲4四同角と金と交換をしたがゆえに、混戦模様となった。
△4四同金に▲5六竜と銀を取るが、△5四香の竜取りから△5七歩(7図)の金取りが入って、詰めろとなる。
ここから、私の方に流れが傾いた。
7図からの指し手
▲4四金 △同 銀 ▲3二銀 △5三玉 ▲4三金 △6四玉 ▲5七金 △3五銀 ▲5六歩 △8八歩 ▲7七桂 △9九飛 ▲6六歩 △7九飛成▲4八玉 △5九角 ▲3八玉 △3七銀 ▲同 桂 △同角成 ▲同 玉 △3九竜 (投了図)
まで、105手で門屋五段の勝ち
7図からHさん、▲4四金から王手の連続で猛攻していくが、残念ながら詰みはない。
また、7図から▲6八金(▲5七同金は△同香成)とかわしても、△5八金と足して▲同金
△同歩成で詰んでしまう。
進んで、△3五銀と竜を取られて大勢は決した。
私の△8八歩の桂取りは、▲同銀なら△7八金(I図)と打って、次に△6九飛からの寄せを狙ったもの。
本譜、△7九飛成からは詰みとなった。
Hさんの持ち駒に「歩」の種類しかないので、他の駒で受けることができない。
投了図以下は、▲3八歩に△3六金まで。
Hさんは、と金・成香・竜と連携させて、上手く駒を活用し見事な快進撃であった。
しかしながら、終盤戦が惜しまれた。
また、機会があった際には、是非再々挑戦を
お待ちしています。
最後まで、ご覧いただきまして誠にありがとうございました。 (門屋)