恐縮ながら、私・門屋の自戦記コーナーを設けさせていただきました。
お楽しみいただけたらと思います。
(掲載、3月17日・木)
第61回栃木県将棋選手権戦
(兼第57回関東アマ名人戦栃木県予選)
主催 下野新聞社
主管 日本将棋連盟栃木県中支部
2017(平成28)年3月13日(日)
国本地区市民センター(宇都宮市)
※上位2名は5月21,22日(土、日)埼玉県で開催される関東アマ名人戦に出場。
参加者26名
対局方式、4人ないし3人1組の予選ブロックを行い、
上位2名が本戦、不通過者はS級各トーナメントへ進出。
持ち時間各20分、秒読み付30秒
予選ブロックリーグ(G組)2回戦
(先)四段 斎藤 孝明(宇都宮市)50代
五段 門屋 良和
初手からの指し手(読み方、横へ読んでいく)
▲7六歩 △3四歩 ▲4八銀 △4四歩
▲4六歩 (1図)
斎藤さんは、最近宇都宮市内において地域のサークルを立ち上げ将棋の普及に取り組んでいる。
さて、1図の▲4六歩は腰掛け銀模様の出だし(銀を5六へ)である。
また、1図で△3二銀なら▲4五歩△同歩▲2二角成を狙っているかもしれない。
1図以下の指し手
△3二金 ▲4七銀 △4二銀
▲3六歩 △5四歩 ▲2六歩 △4三銀
▲5八金右 △5二飛 (2図)
慎重を期して△3二金と上がった、▲4五歩なら△同歩
▲2二角成△同銀で差支えない。
斎藤さんは▲4七銀でここに保留のまま、▲3六歩~▲2六歩~▲5八金右で作戦の態度をはっきりと決めていない。居飛車の作戦のようにも見えるが、▲4八玉と右辺に移動し「右玉」の作戦もこの時点では考えられる。
私は△5二飛(2図)の中飛車、最近よく指している。
2図以下の指し手
▲6六歩 △5五歩 ▲6七金 △5四銀
▲2五歩 △3三角 ▲6八玉 △6二玉
▲7八玉 △7二玉 ▲7七角 △8二玉
▲8八銀 △7二銀 (3図)
斎藤さんは▲6六歩から▲6七金~▲6八玉で、右玉の作戦はなくなった。
▲7七角で穴熊かなとも思ったが、▲8八銀でそれもなくなった。
なお、▲8八銀では▲8八玉から▲7八銀(A図)の左美濃囲いも有力である。
私は△5五歩の位を取って△5四銀、十分の構えと思った。
3図以下の指し手
▲5九角 △9四歩 ▲9六歩 △6四歩
▲7七桂 △7四歩 ▲7九金 △4二飛
(4図)
3図から▲5九角のほかに、▲8六歩から▲8七銀~▲8八玉~▲7八金の銀冠に囲うのもあったと思う。
4図は先手玉の位置が安定していない。
そこで私は△4二飛(4図)と寄って、△4五歩▲同歩
△同銀を目論む。
しかし、斎藤さんの次の一手がうまい手であった。
4図以下の指し手
▲2六角 △4三金 ▲3七桂 △1四歩
▲1六歩 △2二飛 ▲4五歩 (5図)
4図から斎藤さんの▲2六角が好手(しゅうて)で、
△4五歩には▲5三角成(B図)で先手良しとなる。
本譜、△4三金と守り▲3七桂で居飛車の攻撃態勢は理想形となった。
ただし、玉の堅さでは振り飛車側に今のところ軍配が上がる。
その中で▲4五歩から決戦に踏み込む斎藤さんであった、5図へ。
5図以下の指し手
△4五同歩 ▲5六歩 △2四歩
▲同 歩 △同 飛 ▲2五歩 △2二飛
(6図)
▲4五歩(5図)に△同歩と応じ、▲5六歩は継続手で
油断のならない手。
すなわち、△5六同歩▲同銀△5五歩▲4五銀△同銀
▲同桂(C図)の捌きを狙っている。
よって、△5六同歩は斎藤さんの狙いにはまりそうなので、△2四歩から一歩交換をし先手の動きをみた。
6図以下の指し手
▲5五歩 △同 角 ▲5六銀 △4六角
▲4八飛
(7図)
7図の▲4八飛は飛車、角、銀、桂の攻めゴマが集結し▲4五銀(桂)の捌きを狙っている。
しかし、先手玉の位置が不安定であることは否めない。
▲4八飛で▲4七歩(D図)は考えられる。
以下△1三角▲1五歩△5五歩▲4五銀(※▲1四歩は△7九角成▲同銀△5六歩)△同銀▲同桂△5六銀
▲1四歩△7九角成▲同銀△6七銀成▲同玉▲5六金
(E図)と攻めて後手十分である。
7図以下の指し手
△3三桂 ▲4四歩 △5三金
▲4五桂 △同 銀 ▲同 銀 (8図)
▲4八飛(7図)に△3三桂とため、次に△2五桂からの捌きをみせた。
斎藤さんゆっくりとしてはいられない。△2五桂が来る前に攻めないと遅れを取ってしまう。
▲4四歩の拠点を入れたときの手付きは大変力強く、自信あったようだ。
しかし、▲4五同銀(8図)に切り返しがある。
8図以下の指し手
△4七歩 ▲5八飛 △5五桂 ▲5六金 △7九角成 ▲同 玉 △6七桂成
(9図)
次の一手は△4七歩と飛車取りに叩く、▲同飛は△7九角成▲同銀△5五桂(F図)で後手良し。
本譜は▲5八飛と寄ったが△5五桂がピッタシ、▲5六金(※▲6八金は▲4五桂)に△7九角成が決め手で▲同銀は△6七金(G図)の王手飛車がかかる。
9図以下の指し手
▲2八飛 △2五飛 ▲6八飛 △同成桂
▲同 玉 △2六飛 ▲4三歩成 △2八飛成
▲5八歩 △7八飛 ▲5七玉 △5八飛成
(投了図)
まで、80手で門屋五段の勝ち
9図から▲2八飛に△2五飛と活用、狙いは△2六飛と角を取って▲同飛に△7八金の詰みを狙う。
飛車の横の効きがなくなれば詰めやすくなる。
△2八飛成以下は詰み、変化手順が長いので詳しく記載すると、▲5八歩に△7八飛を▲同玉は△5八飛成▲6八銀△6七角(H図)。
また、▲6八銀と守るところで▲8九玉は△7八金▲9八玉△8八金▲9七玉△8七金▲同玉△6九角▲9七玉
△8六銀▲同玉△8八竜(I図)までの詰み。
投了図以下は▲4六玉に△3七角まで。
斎藤さんの攻撃陣は理想形だったが、繰り返しになるが
玉の位置が安定していれば全く違う展開になっていたはずである。
斎藤さんは研究熱心だから、次の対戦が今から非常に
楽しみだ。
私は本局を勝利し、予選リーグ2連勝で本戦トーナメントへ進出となった。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
(門屋)