自戦記第7局目 (掲載、平成28年7月10日・日)
第70回記念全日本アマチュア将棋名人戦栃木県予選
予選ブロックリーグF組第1局
(先)五段 門屋 良和
二段 竹熊 柊 (足利市小学6年生)
主催 下野新聞社
主管 日本将棋連盟栃木県支部連合会
2016(平成28)年6月12日(日)
大沢地区センター(日光市)
持ち時間各20分、秒読み付30秒
竹熊君は小学6年、本年2月に開催された小学生名人戦、6月・倉敷王将戦(高学年部門)各県予選で優勝し現在
二冠。
小学生名人戦東日本大会(3月・東京)では予選ブロックリーグ2連勝し決勝トーナメントへ進出。
倉敷王将戦全国大会は8月6日(土)倉敷市(岡山県)で開催される。
今のりに乗っている小学生である。
さて、本大会のアマ名人戦出場は竹熊君初参加、
予選ブロックで早々に対戦した一局をご覧ください。
初手からの指し手(読み方、横へ読んでいく)
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △3五歩
▲5六歩 △3二飛 ▲4八銀 △4二銀
▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二銀
▲5八金右 △7一玉 ▲9六歩 △9四歩
▲6五歩 (第1図)
竹熊君の作戦は△3五歩から△3二飛で石田流三間飛車、囲いは△7二銀から△7一玉で美濃に組む。
私はいつものように、▲6六歩と角道を止めてから玉を
移動させた。
後手は角道を開けたままなので、▲6五歩(1図)で位を取りながら角交換を挑んでみた。
1図からの指し手
△4四歩 ▲6八銀 △1四歩
▲6七銀 △3四飛 ▲7五歩 △5二金左
▲7六銀 △3三桂 ▲6七金 △4三銀
▲6六角 △5四歩 ▲8八玉 △3六歩
(2図)
▲6五歩(1図)に△4四歩と角道を止めて、△4三銀型の石田流組む。角交換も一局であるが、このあたりは好みともいえそう。
居飛車は▲7五歩から▲7六銀で玉頭位取り作戦、
▲6六角と上がって玉を8八へ移動。
その瞬間、△3六歩(2図)と突いてきた。
2図からの指し手
▲3六同歩 △同 飛 ▲7八金 △1三角
▲3七歩 △3四飛 ▲8六歩 △4五歩
▲2六歩 △4六歩 (3図)
△3六歩(2図)に▲同歩と応じた、▲3八飛は
△3七歩成▲同銀△4五桂▲3六銀△3七歩(A図)がある、▲同桂は△3六飛で銀が取られる。
囲いも未完成なので▲3八飛は考えていなかった。
駒組みが進んで、△1三角から△4六歩(3図)と突いてきたが、もう一手△8二玉と囲いの中に入っておきたかった。
△7一玉の位置は何かと、局面が動いたときに角のラインでカウンターを狙われる恐れがある。
3図からの指し手
▲4六同歩 △同 角 ▲2五歩 △3六歩 ▲2六飛 △5五歩 ▲4七歩 △3七歩成 ▲4六歩 △4八と ▲同 角 △3八飛成
▲6六角 (4図)
△4六歩(3図)に▲同歩△同角と捌き、△3六歩を
狙ってきた。
▲2五歩に△3六歩のところ△4七歩は考えれるが、
以下▲同銀△3七角成▲同桂△同飛成のとき▲2六角
(B図)の王手飛車がある。
▲2六飛は△3七歩成なら▲4六飛で角を取る意味。
△5五歩に▲4七歩の角取りでは平凡に▲5五同歩で良かった。
△3八飛成▲6六角(4図)となって、飛車を取る手が生じてしまった。
4図からの指し手
△5六歩 ▲3九歩 △5八竜
▲3六飛 △3四歩 ▲3八飛 △同 竜
▲同 歩 △4四歩 ▲3一飛 △5九飛
▲1一飛成 △6九銀 (5図)
局面(4図)から△5六歩と取り込んできたが、
△3五銀の飛車取りもあったかもしれない、▲3九歩に
△7八竜▲同玉△2六銀(C図)で二枚替えとなる。
しかし、この後2六銀の活用が難しい。
▲3九歩△5八竜▲3六飛に△3四歩では△3二歩と桂の下から歩を打つべきで、▲3三角成の防ぎにもなる。
▲3八飛で飛車交換となり、▲3一飛から▲1一飛成、
竹熊君△5九飛から△6九銀(5図)と絡む。
5図からの指し手
▲7九金 △5八銀成 ▲5五香 △5七歩成
▲5二香成 △同 銀 ▲7八金 △6七と
▲同 銀 △5七成銀 ▲2六角 △6七成銀
▲4四角左 △5三銀打 (6図)
▲7九金△5八銀成に▲5五香と打つ、後手は5六歩が
あるため、歩で守れない。△5七歩成で攻め合う。
▲5二香成で金を剥がして▲7八金と上がった。すぐに▲2六角の飛車取りから▲4四角左の筋もみえるが、
▲2六角に△6七と▲同銀△8七香(D図)と打たれ少々面倒。
△6七とで金は取られたが、△5七成銀の時に▲2六角と
飛車取りに打った。
竹熊君構わず△6七成銀で攻め合う。
▲4四角左に△5三銀打(6図)で跳ね返す
(※△5三歩は▲5九角と飛車を取る)。
6図からの指し手
▲6七金 △8七香 ▲同 玉 △8九飛成
▲8八金 △6九竜 ▲5三角成 △同 銀
▲同角成 △6二金打 (7図)
△5三銀打(6図)に▲6七金と成銀を取る。
△4四銀なら▲5九角、△5八飛成には▲6八金打、
△6九飛成は▲7八銀か▲5三角成のいすれ。
竹熊君△8七香の王手、▲同玉に△8九飛成と迫るが、▲8八金と受け、これ以上の攻めはない。
△6九竜で金取りにした。
▲5三角成から△同銀▲同角成で銀二枚を剥がし、
△6二金打(7図)と弾く。
私の方は当然後手を引いてはいけない。
7図からの指し手
▲6二同馬 △同 玉 ▲7八銀 △5九竜
▲5七香 △5五桂 ▲8二銀 △7九角 ▲5四歩 △4四角 ▲2二竜 △5二歩 ▲5三銀 (投了図)
まで、105手で門屋五段の勝ち
7図から▲6二同馬と金を取って▲7八銀の守り、これで
先手は陣形が引き締まった。
▲5七香は▲5二金△同金▲7一銀の詰み狙い。
△5五桂は6七金取りであるが▲8二銀と縛る、
△6七桂成なら▲5三金の詰み。
△7九角に▲5四歩も▲5三金の詰めろ。
△4四角の受けに▲2二竜から詰みとなった。
投了図以下は△5三同角▲同歩成△同玉▲3三竜
△4三銀▲4四金△6二玉▲5四桂△同銀▲5三角
△同歩▲同竜まで。
竹熊君勢いよく攻めてきたが、玉の位置が安定していればもっと良かったと思う。7一の位置は△5四歩と突いてある関係で角のラインによる反撃がきつい。
竹熊君本大会予選は通過できなかったが、これからも
ドンドン一般大会(県予選)に参加して実力をつけていただきたい。
8月6日(土)は全国小学生倉敷王将戦(高学年部門)全国大会(岡山県倉敷市)が控えている。
活躍期待しているよ!