自戦記第8局 (掲載日、平成29年3月22日・水)
第62回栃木県将棋選手権戦
(兼第58回関東アマ名人戦栃木県予選)
主催 下野新聞社
2017(平成29)年3月12日(日)
鹿沼市民情報センター(鹿沼市)
持ち時間各20分、秒読み付30秒
予選ブロックリーグ(D組)1回戦
(先)五段 門屋 良和
四段 阪本 駿(那須塩原市高2)
初手からの指し手(読み方、横へ読んでいく)
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △3五歩
▲5六歩 △3二飛 ▲4八銀 (第1図)
阪本君は3度目の優勝を狙う。
戦型は得意の石田流三間飛車へ。
第1図からの指し手
△6二玉 ▲6八玉 △7二銀
▲7八玉 △7一玉 ▲5八金右 △8二玉
▲9六歩 △9四歩 ▲6八銀 △5二金左
▲6五歩 (第2図)
戦型が決まれば、当面は駒組みが続いていく。
石田流三間飛車は美濃囲いへ、今後は3一銀の動きが
ポイントになる。
第2図で私は▲6五歩と位を取り角交換を挑んだ。
第2図からの指し手
△4四歩 ▲6七銀 △3四飛
▲6六角 △1四歩 ▲1六歩 △4二銀
▲7七桂 △5四歩 ▲8八玉 △5三銀
▲7八金 (第2図)
▲6五歩(第2図)に、阪本君は△4四歩と角道を
止め、3一銀は△5三銀型に組む。
私は▲6六角から▲7七桂へ組む。
第3図からの指し手
△6二銀 ▲4六歩 △3三桂
▲4七銀 △1三角 ▲8六歩 △7一銀
▲2六歩 △9二香 ▲2五歩 △9一玉
▲5五歩 △同 歩 ▲同 角 △8二銀
▲7五歩 △1二香 ▲7六銀 △4五歩
(第4図)
阪本君は△9二香から穴熊へ、5三銀を8二へ引き付ける。
途中▲4六歩に△3三桂は必要で、▲4五歩
△同歩▲2二角成を防いでもいる。
私は▲5五歩から一歩交換した、いずれその一歩で▲9五歩からの端攻め狙い。
本譜▲7六銀は一つの狙いとして、▲9五歩
△同歩▲9四歩△同香▲8五銀の含み。
△4五歩(第4図)から決戦となった。
第4図からの指し手
▲4五同歩 △3六歩 ▲同 歩 △5六歩
▲6七金左 △4三金 ▲7四歩
(第5図)
△4五歩(第4図)から△3六歩と突き捨てて、
飛車の横効き、角の効きを両方を通して、△5六歩と
垂らし△5七歩成▲同金△同角成を狙う。
△5六歩に▲同銀は△3六飛で銀取り△3九飛成がある。
したがって、形は崩れるが▲6七金左と上がって
5七の地点を補強した。
△4五桂なら▲5六銀△3六飛▲3七歩で差支えない。
本譜△4三金は力強い一手で、△5四金で角を
圧迫しようとしている。
その手に対し▲7四歩(第5図)と突く。
第5図からの指し手
△5四金 ▲6六角 △4五金
▲7三歩成 △同銀右 ▲9五歩 △3六金
▲9四歩 △5七歩成 ▲同金上 △7五歩
(第6図)
▲7四歩(第5図)に△同歩は角道が後手玉を睨むので▲9五歩からの端攻め。また、△7四同飛は
▲5六銀と歩を払ってよい。
本譜△5四金に▲6六角と引き△4五金に、
▲7三歩成△同銀右▲9五歩と待望の端攻め。
△同歩なら▲9三歩△同香▲8五桂だ。
阪本君ここは手を抜いて、△3六金から攻め合いに持ち込んでいく。
▲9四歩に△5七歩成▲同金直△7五歩
(第6図)と紛れを求めてきた。
なお、△7五歩で△2七金は▲同飛△3九飛成
▲4六歩と角道を止めて先手がよい。
第6図からの指し手
▲8五桂 △8二玉 ▲7五銀 △7四歩
▲9三歩成 △同 桂 ▲同桂成 △同 香
▲同香成 △7一玉 (第7図)
△7五歩(第6図)は▲同角なら△8四銀と角をあてつつ守ることにある。
したがって、銀取りに構わず▲8五桂と跳ねた。
△7六歩なら▲9三歩成△同桂▲同桂成△同香
▲同角成で必至になる。(△8一銀打には▲9二歩からの詰み)
本譜、△8二玉にいったん▲7五銀と歩を払い
△7四歩に▲9三歩成から攻めていく。
▲同香成のとき△7一玉(第7図)と引く、なお△9三同玉のときは▲7四銀の開き王手(6六角)で攻めていく。
第7図からの指し手
▲3五歩 △同 金 ▲2四歩 △3一角
▲2三歩成 △4五桂 ▲5八金 △2七歩
▲3八飛 △3七歩 ▲3九飛 △7五角
(第8図)
第7図からどう寄せるかであるが、▲3五歩と
焦点の歩を打った。△同角は▲3六銀と金を取る、
△同飛は▲4四角の王手飛車。
本譜は素早く△同金と応じた。もしかしたら、
▲3五歩では▲4六桂と飛車取りに打ち△同金なら
▲同金が優っいたかもしれない。(△3九飛成は
6六角が効いている)
▲2四歩は手筋、△同歩と△同角は効かされだから△3一角から△7五角と捌いて勝負にきた。
なお、△3一角で△7五歩と銀を取っても
▲2三歩成△3一角▲3三とで先手が良い。
第8図からの指し手
▲3三と △6六角 ▲同 金 △8四角
▲7五歩 △5四飛 ▲5六香 △5五歩
▲同 香 △同 飛 ▲同 金 △7五角
▲9九飛 △6六角 (第9図)
△7五角(第8図)に▲3三とと飛車取りに寄せる。△6六角▲同金に△8四角と金取りに打ってきた手には、▲7五歩と角道を遮る。
慌てて飛車を取る必要はない。
△5四飛(△3三飛は▲4四角の王手飛車)に
▲5六香から飛車を入手。
△7五角▲9九飛△6六角(第9図)となった。
第9図からの指し手
▲7七角 △同角成 ▲同 玉 △7五香
▲7六歩 △同 香 ▲同 玉 △8八角
▲5三角 △6二金 ▲同角成 △同 玉
▲5四桂 △6一玉 ▲6二香 △7一玉
▲8二金 △同 銀 ▲同成香 △同 玉
▲9二飛打 (投了図)
まで、125手で門屋五段の勝ち
△6六角(第9図)の王手金取りに▲7七角と打ち返してよい。
本譜、角交換の後△8八角の飛車取りになった
とき、▲5三角△6二金に▲同角成から詰み。
△6二金の守りで△6二桂なら詰みはないが、
▲9一飛△8一銀打で後手の持ち駒がなくなってしまう。
投了図以下は△7三玉▲8二銀△8四玉
▲9四飛成まで。
阪本君はこの後2連勝して予選を通過、決勝トーナメントでは快進撃で3度目の優勝を飾った。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
(門屋)