練習対局をUPしてみました。
はじめての試みです、よろしくお願いいたします。
(解説・門屋)
掲載日、平成28年3月8日(火曜日)
練習対局(練習日)3月4日(金)
宇都宮将棋センター (持ち時間無制限)
(先)四段 神永 慶一郎(宇都宮市高2)
(後)五段 門屋 良和 (宇都宮将棋センター)
トップバッターに登場していただいたのは、神永慶一郎君、高校生大会県優勝をはじめ勢いに乗っている。
先頃2月28日(日)行われた日本将棋連盟支部対抗戦(3人1組)栃木県予選で優勝し、4月25,26日(土、日)東京で開催される東日本大会の出場が決まった。
初手からの指し手(読み方、横へ読んでいく)
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △8四歩
▲7八飛 △8五歩 ▲7七角 △6二銀
▲6八銀 △5四歩 ▲5六歩 △4二玉
▲4八玉 △3二玉 ▲3八玉 △5二金右
▲2八玉 △1四歩 ▲1八香 (1図)
神永君の作戦は▲1八香(1図)となって三間飛車穴熊へ、本人曰く「本作戦は課題の一つ」であるという。
1図以下の指し手
△7四歩 ▲1九玉 △6四歩 ▲2八銀
△7三桂 (2図)
居飛車は急戦、△7三桂(2図)と跳ね△6五歩からの仕掛けを狙う。
2図以下の指し手
▲5七銀 △6五歩 ▲6八飛 △6六歩
▲同 銀 △6四歩 ▲3九金 △6五桂
(3図)
△7三桂(2図)に▲5七銀で▲3九金は、△6五歩
▲同歩△5五歩▲同歩(※▲同角は△同角▲同歩△8六歩
)△6五桂▲6六角△5六歩(A図)と捌いて後手十分。
本譜は▲5七銀△6五歩に▲6八飛と迎え撃っ。
戦いの筋に飛車を移動するのが振り飛車の鉄則。
本譜△6五桂となって(3図)。
なお、△6五桂(3図)の前に△8六歩の突き捨てや、3一銀を△5三銀左に持っていくのもある。
3図以下の指し手
▲6五同銀 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲2二角成 △同 銀 ▲4六角 △7三銀打
▲8五桂 (4図)
神永君隙ありとみて、▲6五同銀から角を交換し▲4六角の好打。
本譜のタイミングでの△8六歩は間に合っていない、ここからは振り飛車ペース。
▲8五桂(4図)の局面は実に厳しい一着、振り飛車完封勝ちも視野に入る。
しかし、ここではあえて▲7七桂(B図)の遊び駒の活用も一策、後手の持ち駒に歩がないので△6四歩と守る手段はない。
以下△8七歩成に、
①▲8五飛△同飛(※△8四歩は▲8七飛から▲6五桂
の狙い)▲同桂(C図)。
②▲8五桂は△6四歩▲7三桂成△同銀▲6四角
△同銀▲同飛△7八と(D図)。
いずれにせよ、本譜は後手の飛車を捌かさせない意味での▲8五桂であって、振り飛車側の自陣は金(6九)が離れていていることもあり、飛車に狙われる可能性があることも考慮しなくてはいけない。
神永君簡明な判断だった。
4図以下の指し手
△6四角 ▲7三桂成 △4六角
▲6二成桂 △5七角成 ▲5二成桂 △同 飛
▲6一飛成 △3五桂 (5図)
神永君は一直線に攻め合う、▲7三桂成から▲6二成桂も
良い判断、飛車を取らず後手陣を薄くしていく。
終盤は速度。
△3五桂(5図)にどう受けるべきか。
5図以下の指し手
▲3六銀 △6六角 ▲3八金打 △9九角成
▲6四歩 △9二飛 ▲6三歩成 △3三銀
▲8三銀 △4二飛 ▲5三と △4四馬
▲4二と △同 銀 (6図)
△3五桂(5図)に▲3六銀(※受けないと△2七桂不▲同銀△3九馬の筋)と受けたが、▲4八銀(E図)と馬取りにあてるのも有力だった。
この後、▲5九金か▲5八金となれば金銀4枚のきれいなスクラムができ、穴熊が一層頑丈になりそう。
と同時に▲3六歩の桂取りの催促もできる。
よって、△3五桂(5図)には▲4八銀△5六馬▲5八金△8九馬▲3六歩(F図)で十分。
そのうえで▲6三歩から▲6二歩成の狙いにもっていく方法もある。
6図の局面は、△6六角に▲3八金打としっかり埋め、
▲6四歩から▲6三歩成と、と金を作って飛車を捕獲、神永君の優勢は変わらない。
6図以下の指し手
▲8一飛 △3一金 ▲7四銀不 △2四香
▲6三銀成 △7一歩 ▲5二成銀 △2七桂不
▲同銀引 △同香成 ▲同 銀 △7二銀
▲同 竜 △同 歩 (7図)
6図から▲8一飛の二枚飛車、「二丁飛車に追われた夢を見た」というほど、二枚飛車の攻めは強烈。
△3一金に▲7四銀不は疑問手、局後の感想で神永君「歩を取らずに▲7二銀不だった(G図)」と述べる。
4四馬のラインで△7一歩と止められたから。
細かいところであるが、小さな積み重ねが大局観を養うことにつながっていく。
本譜△7一歩に▲5二成銀では、すぐに▲8二飛成(H図)と飛車の働きを良くしたい。
△2七桂不から△7二銀の飛車の両取がかかる、やや面倒となった感がある。
7図以下の指し手
▲2二歩 △同 馬 ▲4五桂 △6六馬上
▲2八銀 △6五飛 (8図)
▲2二歩は手筋、△同玉は▲4二成銀△同金▲3一銀(I図)の筋)。
△2二同馬に▲4五桂と包囲網、△6六馬上にしっかり▲2八銀と埋める。
中盤あたりの局面においても▲3八金打があったが、穴熊は埋めれば埋めるほど堅くなるし、攻めに専念できる強みがある。
△6五飛となって8図へ。
8図以下の指し手
▲4六香 △6一歩 ▲5三桂成 △同 銀
▲同成銀 △2二玉 (9図)
▲4六香は攻防手、桂を守りながら4三の地点をも狙っている。
△6一歩に▲5三桂成は継続手。
9図へ。
9図以下の指し手
▲6三歩 △3五桂 ▲6一飛成 △2七桂不
▲同 金 △3九馬 ▲同 銀 △同 馬
(10図)
やや攻めが細くなってきた神永君であるが、▲6三歩で8一飛の活用を図る、当然の一手で飛車が働かないことには穴熊といえども勝ちには結びつかない。
私の△3五桂では△4一桂(J図)と紛らわすのはあった。
①▲4三成銀は△4五歩の香取り
②▲5二成銀は△6三飛
③▲4三香成は△5三桂▲6一飛成△4一歩▲7二竜
△4二銀(K図)
勝負はまだ先であったと思う。
10図は詰みが生じている。
10図以下の指し手
▲3一竜 △同 玉 ▲4二銀 △2二玉
▲3一角 △1二玉 ▲2四桂 (投了図)
まで、105手で神永四段の勝ち
▲3一竜以下は詰み、△1二玉は▲1三銀△同玉▲2二角△2四玉(※△1二玉は▲1三金△同桂▲1一竜まで)▲1六桂△1五玉▲2六金打まで(L図)。
投了図は▲2四桂が手筋で、△同歩と取らせることにより、△1三玉から△2四玉の逃げ道をなくしている。
以下△2四同歩▲2二金△1三玉▲3二金△2三玉
▲2二角成まで。
本局を終えて神永君の感想、
「うまく捌いたが、底歩(△7一歩)を打たせて怪しくしてしまいました。最後は詰みを読み切ることができた。」
更なる精進を期待します。
最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました。
(門屋)