(六枚落ち編)飛、角と桂香各二枚落ち

       (掲載、平成28年10月24日・月

  

(下手)したて 小学2年(男子)B君 

(上手)うわて 五段 門屋 良和

 

宇都宮将棋センター子供教室より(持ち時間なし)

2016(平成28)10月4日(火)実施

 

 

 六枚落ちは、上手が飛車角と、桂・香各二枚落として行う。

 

  

最初の並べ方からの指し手(読み方、横へ読んでいく)

      △4二玉  ▲7六歩  △7二金  

▲6六角  △8二銀  ▲9六歩 △6四歩  ▲5六歩  △7四歩  ▲9五歩 △7三金

                 (1図)

 八枚落ちと同じようにB君は▲6六角と出て9三の地点を狙う。

 

 上手△7三金(1図)にどう攻めるか。

 

 

 

 

 

1図からの指し手

▲9四歩 △同 歩  ▲同 香  △8四金  ▲9八飛 △9五歩  ▲9二香成 △7三銀

                  (2図)

 △7三金(1図)に、▲9四歩と攻めてよい。

△同歩▲同香に△8四金(△9三歩なら▲同香成

△同銀▲同角成と銀を取って下手良し)には、

いったん▲9八飛と転換する。

 

 △9五歩(△9四金なら▲同飛と金を取って下手良し)と飛車道を止めた手に▲9二香成と銀取りにし、

△7三銀(2図)と進行した。

 

 下手順調である。

 

 

 

 

 

2図からの指し手

▲8六歩 △5四歩 ▲7七桂  △7五歩  

▲8五歩 △7六歩 ▲8四歩  △7七歩成

▲同角  △5七桂          (3図)

                   

 2図から上手の8四金を目標に、▲8六歩△5四歩

▲7七桂で、次に▲8五歩を狙う。

 

 すなわち、本譜△7五歩で△5二金なら、▲8五歩

△9四金▲9三成香(A図)△同金▲同角成で

金が取れ、端を攻略できる。

 

 

 本譜△7五歩(△同歩もある)に▲8五歩と金取りに強く攻めてきた。

 

 △7六歩(桂取り)に▲8四歩と金を取って、

△7七歩成▲同角△5七桂で金の両取り、3図へと進行。

 

 

 

3図からの指し手

▲6八角  △6九桂成 ▲同 玉 △8四銀  

▲8五歩  △7五銀  ▲9五飛 △6五歩 

▲5八金  △7六歩        (4図)

                       

 

 

 △5七桂(3図)は、次に△6九桂成▲同玉

△8七金の飛車、角の両取りが狙い。

 

 B君は察知して、▲6八角と引いてその筋を防ぎつつ桂取りにした。うまい手である。

 

 △6九桂成▲同玉となったところで、▲1三角成の

筋と▲9五飛のさばきが芽生えた。

 

 △8四銀と▲9五飛と守った手に対しては、

▲8五歩と銀取りに打った手が好手(しゅうて)で、

△7五銀に▲9五飛とさばけて、B君好調だ。

 

 △6五歩に▲5八金は、△6六歩からの攻めに

備えた。

 

 △7六歩となって4図

 

 

 

 

4図からの指し手

▲8一成香 △6六歩  ▲同 歩 △同 銀  ▲9二飛成 △5三玉  ▲8六角 △7五金  ▲9五角              (5図)

 

 

 

 

 4図において上手△7六歩の意味は、次に△6六歩▲同歩△同銀▲6七歩△7七歩成(B図)と、と金作りにある。

 

 

 したがって、B君の▲8一成香では、▲7八歩

(C図)受けて、先ほどの△6六歩からの攻めに備えるところだった。

 

 

 ▲9二飛成(王手)から▲8六角(王手)は、  △7七歩成とされたときに、角当たりを避けながら角を活用した。

 

△7五金と受け▲9五角で、5図へ。

 

 

 

 

5図からの指し手

     △7七歩成 ▲7三角成 △6七と  

▲6二竜 △4四玉  ▲5九玉  △5八と   ▲同 玉 △7六金  ▲4八玉  △6七金

                   (6図)

 

 B君は自玉の周辺に(5図)△7七歩成と、と金を作らせてしまった。▲7三角成と攻めに出て△6七と

▲5九玉△5八と▲同玉と進み、守りの金を剥されたのは痛かった。

 けれども、勝負はまだこれからだ。

 

 

 △7六金に対して▲4八玉と早逃げしたのは、

うまい。

 △5七金とされてから▲4九玉△4七金では、

自玉が狭(せま)くなるからだ。

 

 

 △6七金と追って6図へ。相手玉をどのように寄せるか。

 

 B君、腕の見せどころだ。

 

 

 

6図からの指し手

▲4六歩  △3四歩  ▲4五金 △3三玉  ▲6三馬  △3二金  ▲5三竜 △5七銀成 ▲3八玉  △5八金  ▲4四金 △2二玉  ▲4三金  △4七歩  ▲3二金 △同 銀

▲4九金                (7図)

 6図から▲4六歩と突き、次に▲4五金の1手詰みを狙った。しし、△3四歩と、逃げ道を作られて

▲4五金△3三王とからぶってしまう。

 

 6図では▲3六桂と王手し△3四王(△4五王と

△3五王は▲4六馬以下詰み)に、▲6六竜(D図)と銀を取る手があった。

 以下△同金に▲3五銀と捨て△同王なら▲4六馬、△2五王には▲2六銀△3四王▲3五金の詰み有り。

 

 本譜、△3四歩に▲4五金では、3三の地点を

ふさいで、▲2五桂(E図)が有力。次に、▲4五金の一手詰みだ。

 王手はかけているときは気持ちよいが、詰みがないときは王手をしないで、「次に詰ませるぞ」が、良い手のことが多い。

 詰みの訓練は、1手、3手詰みから十分なので本を見て練習すると終盤力も格段にアップする。

 

 

 さて、▲5三竜から▲4四金、▲4三金、▲3二金と上手玉に迫っていった。

 

 しかし、▲4三金で歩を取ったため、上手にも

△4七歩の手段を与えた。

 

 ▲4九金(7図)と守ったが、果たしてどうで

あっただろうか。

 

 

 

 7からの指し手

     △4九同金 ▲5四馬 △3九金  

▲同 玉 △4八歩成 ▲2八玉 △3九銀  

▲1八玉  △2八金       (投了図)

まで、85手で門屋の勝ち 

 

 B君は、△4八歩成をふせいで▲4九金(7図)

守ったが、残念ながら△同金と取られてただ取りとなってしまう。

 すなわち、▲4九同玉だと△4八金▲同銀△同歩成で詰み。

 

 ▲4九金では▲4四桂(F図)と打って詰めろを

かけて勝ち。

 

 △4八歩成(G図)が気になるが、▲2八玉とかわし(▲4八同銀は△同金以下詰み)、△3八金には

さらに▲1八玉(H図)とかわし(▲3八同銀は

△同と▲同玉△4八金▲2八玉△3九銀▲1八玉

△2八金△2八金打には▲同銀△同金▲同玉で、きわどくしのいでいた。

 

 

 

 終盤は相手側の詰み筋と、自分側の詰み筋の2題が問題として出題されている。

 自分の方の詰み筋は、駒の向きが反対で分かりにくいところもあるが、これは日々の研鑽が必要で、なれるしかない。

 

 B君、惜しい局面もたくさんあったので、楽しみながらさらに上達してほしい。

 

 B君、またの対局(指導)を楽しみにしているね。

 

 

 最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました。               

                    (門屋)