指導対局・八枚落ち~その2
飛、角と、銀桂香(各二枚)落ち
(掲載、平成29年9月21日・木)
(下手)したて 小学3年(男子)I君
(上手)うわて 五段 門屋 良和
子供教室より(初手より一手20秒)
2017(平成29)年9月20日(水)対局
最初の並べ方からの指し手(読み方、横へ読んでいく)
△3二金 ▲7六歩 △7二金
▲6六角 △8二金 ▲9六歩 △6四歩
▲5六歩 △7四歩 ▲9五歩 △5二玉
▲9四歩 (1図)
I君は端(9筋)から集中的に攻めていく。
▲6六角から9筋の歩を進めて▲9四歩とぶつけた(第1図)。
途中、△6四歩に▲5六歩は必要で、△6五歩の角取りに来たとき、▲5七角と引いて、あくまで
9三の地点に睨(にら)みつける意味である。
第1図からの指し手
△9四同歩 ▲同 香 △8四歩
▲9八飛 △8三金 ▲9三香成 (第2図)
▲9四歩(第1図)に▲同歩△同香と順調に攻める。
△9三歩なら、▲同香成△同金▲同角成(A図)で端を破れる。
したがって、本譜、△8四歩でワナを仕掛けた。▲同角なら△8三金▲5七角△9四金(B図)で香を取られてしまう。
△8四歩に▲9八飛と応援を繰り出すI君。好手(しゅうて)だ。
△9三歩なら▲同香成△同金▲同飛成で良し。
本譜、△8三金に▲9三香成と金取りにあてるのも好手。
なお、▲9三香成に変えて▲9二香成は△9四歩で、飛車と成香が協力できず、攻めが遅くなる。
第2図からの指し手
△7三金 ▲8二成香 △5四歩
▲9二飛成 △6五歩 ▲5七角 △2四歩
(第3図)
△7三金に▲8二成香から▲9二飛成と進め、I君順調そのものだ。
飛車成の位置は、基本的に玉の横のラインが良い。睨みを効かせた方か何かと都合がよい。
本譜、△6五歩に▲5七角と引き、場合によっては1三角成もみせる。
△2四歩(第3図)に絶好の一手がある。
成香の活用である。
第3図からの指し手
▲7二成香 △6四金 ▲7三成香 △4一玉
▲6二成香 △3一玉 ▲5二成香 △5五歩
(第4図)
第3図からI君は▲7二成香と金取りにした。
しかし、ここはチャンスであった。
▲8三成香(C図)と引けば、王手金取りの両取りがかかった。以下△6三玉に▲7三成香と金を取って、△同玉に▲3二竜(D図)とさらにもう一枚
金が取れた。
とはいえ、成香でジワジワと相手玉に迫って
第4図となる。
第4図からの指し手
▲8一竜 △2二玉 ▲4一竜 △5六歩
▲4六角 △5四金 ▲4二成香 △同 金
▲同 竜 △2三玉 (第5図)
第4図からI君は▲8一竜と王手をした。
しかし、王手をかけるのは良くないことが多い。
相手玉を逃げやすくしてしまう可能性が大きい。
第4図では、▲8四角(E図)と出て、次に
▲5一角成から▲4二成香△同金▲同竜で良かった。
第5図となって決め手がある。
第5図からの指し手
▲2六歩 △5七歩成 ▲同 角 △5六香
▲5八金左 △5七香成 ▲同 金 △4五金
▲4六歩 △5六歩 (第6図)
第5図で▲3五金(F図)と打てば必至だった。
次の▲2四金で詰みとなる。
上手は△3二香と守るくらいだが、▲2四金
△2二玉▲3三金△1一玉▲3一竜△2一歩▲2二金(G図)までの詰みとなる。
本譜、△5七歩成に▲同角のところ▲3五金でよい。△5八歩には▲同金左△同と▲同金(H図)で差支えない。
△5六香の田楽刺しが入って角を取られてしまった。
△5六歩(第6図)の金取りにどうすべきか。
第6図からの指し手
▲4五歩 △5七歩成 ▲5八歩 △7八角
▲5七歩 △8九角成 ▲3六香 △3二金
▲4一竜 △7九馬 ▲1一金 △5七馬
▲6九金 △4七桂 (投了図)
まで、67手で門屋五段の勝ち
△5六歩(第6図)の金取りには、▲4七金とかわして良かった。
本譜は、▲4五歩で金の取り合いとなったが、
△5七歩成と、玉の目前にと金を作らせてしまった。危うくなる。
▲5八歩の守りに△7八角は、▲同銀なら△6八金で詰む。
本譜、▲3六香は▲3三竜を狙ったが、△3二金と弾かれ、▲4一竜に△7九馬と銀を取られる。
▲1一金では△5七馬(J図)を防いで、▲4八金と上がっておきたい。
△5七馬に▲6九金と頑張ったが、△4七桂
(投了図)で詰みとなった。
▲6九金では▲5八金打(K図)と守らざるを得ないところだ。
I君はとても惜しい局面がたくさんあった。
あともう一息、また対局をいたしましょう。
最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました。 (門屋)