指導対局(八枚落ち編)飛、角と銀桂香各二枚落ち
(掲載、平成28年10月10日・月)
(下手)したて 小学2年(男子)A君
(上手)うわて 五段 門屋 良和
宇都宮将棋センター子供教室より(持ち時間なし)
2016(平成28)10月4日(火)実施
駒の動かし方がだいたい分かってくると、おおむね
八枚落ちからスタートしいく。
最初の並べ方からの指し手(読み方、横へ読んでいく)
△3二金 ▲7六歩 △7二金
▲6六角
(1図)
駒落ちの時の先手後手は、駒を落とした上手側(うわてがわ)から先に指していく。
(※駒落ちでは先手後手の表記は、下手上手となる)
棋譜(きふ)の表記は、上手から先に指すが後手番扱いで、下手(したて)は先手番扱いとなる。
棋譜(きふ)の読み方は、上手側の方から見て、数字をヨコに読んでから、タテに読んでいく。
初めは混乱(こんらん)しやすいが、ポイントは両端(りょうはし)は1と9、真ん中(まんなか)は5となる。
さて、図面「最初の並べ方」において、上手は飛車、角、銀と桂と香の各二枚を落とし、計八枚落とした段階(だんかい)からはじまる。
「八枚落ち」といわれる。
さて、初手△3二金に、小学二年男子は▲7六歩と角道をあけた。
▲7六歩を一つ前に進めることによって、角が動きやすくなる。
角と飛車を、思う存分活用するのが勝利への近道。
△7二金に▲6六角(第1図)と出て、次は▲9三角成のねらい。
1図からの指し手
△8二金 ▲9六歩 △6四歩
▲5六歩
(2図)
1図から▲6六角に△8二金と守る。△8二金と守らなければ▲9三角成と馬を作って良い。
そして、▲9六歩と進めていく、9九の香と角が協力して9三の地点を攻める。
△6四歩には、いったん▲5六歩(2図)と角の逃げ道をつくった。すなわち、△6五歩と角取りにきても、▲5七角と引いて、あくまで9三の地点をねらう。
(また、▲5七角と引いたとき、▲1三角成の狙いも生じてくる)
2図からの指し手
△7四歩 ▲9五歩 △5二玉
▲9四歩 △同 歩 ▲同 香 (3図)
△7四歩に▲9五歩と進め、△5二玉に▲9四歩とぶつける。△同歩▲同香となって3図。
歩を取られても、香で歩を取り返せる。
3図からの指し手
△8四歩 ▲9八飛 (4図)
3図から△8四歩と角道を止めた。実はこれは上手のワナ。
▲同角と喜んで歩を取ると、△8三金▲5七角
△9四金(A図)で香を取られる。
なお、本譜△9四歩のところで、△9三歩と香取りに歩を打ってきたときは、▲9三同香成△同金▲同角成(B図)と、金を取り返して下手が成功となる。
したがって、△8四歩に▲9八飛(4図)と飛車を9筋へ転換(応援)し、次に▲9三香成で今度は飛車と香が協力して攻めていくことになる。
4図からの指し手
△7三金 ▲9二香成 △2四歩
▲8二成香 △5四歩 ▲9二飛成 △6五歩
▲5七角 △2三金
(5図)
△7三金に▲9二香成から▲8二成香と順調に進めていく小二男子。
なお、▲8二成香で▲8一成香と間違っても前に進めてはならない。▲9二香成の後は上手玉のヨコのラインに近づけていくのがポイントだ。
そして、△5四歩に▲9二飛成と竜を作る。飛車成は他にも▲9一飛成と▲9三飛成があるが、上手玉の横のラインに成って睨(にら)みを効かせるのが、
ここでもポイントとなる。
△6五歩の角取りには▲5七角と引き、△2三金
(5図)に次の手が決め手となった。
5図からの指し手
▲8三成香 △6三玉 ▲7三成香 △同 玉 ▲9三竜 △8三香 (6図)
5図からズバリ小二男子▲8三成香とした、見事王手金取りになった。竜の王手と成香で金取りになった。決め手である。
△6三玉に▲7三成香と金を取って、上手の守りを
薄くしていく。守り駒のない上手玉は捕まえやすい。
▲9三竜に△8三香(6図)と守って、次は角の
活用。竜と角が協力していく。
6図からの指し手
▲8四角 △7二玉 ▲7三金 △7一玉 ▲8二竜 △6一玉 ▲6二竜 (投了図)
まで、38手で小二男子の勝ち
6図から▲8四角(王手)と出る。△同香とは取れない、香が動けば9三竜が7三玉をとれる。
(※王手の見逃しは、規約上反則負け扱い)
かといって、△8四同玉も竜が効いている。
△7二玉に▲7三金から詰ませて、終局となった。
なお、△7二玉で△6三玉なら▲8三竜と香を
取ってよい。
この調子で、楽しんで棋力の向上につなげてもらいたい。
最後まで、ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
(門屋)